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すべての方へ大分の酪農家を紹介します!!② ~日出町 ㈲百合田牧場編~
大分県の酪農について県内外のたくさんの方々に知ってもらうためのコーナー
「大分の酪農家を紹介します!!」
第2回目となります今回は、日出町の㈲百合田牧場さんです。
後継者として日々奮闘されている怜史さん・美咲さんご夫婦にスポットを当てご紹介します。
左から、怜史さん 亮さん 美咲さん 美香さん
≪㈲百合田牧場について≫
◇牧場概要◇
日出町は大分県速見郡に属する町で、県中央部の別府湾に面した位置にあります。夏は蒸し暑く冬は寒いと季節の寒暖差がはっきりした気候の地域で、特産品としては城下カレイや麦焼酎・ぎんなんが有名です。
この日出町にあります㈲百合田牧場では乳牛を80頭ほど(うち、経産牛64頭・育成牛16頭)を飼育しています。肉用牛も10頭飼育し乳肉複合経営をされています。また乳用種はホルスタイン種のみならず、全国でも珍しいブラウンスイス種(乳肉兼用種)も飼養しています。
◇特徴◇
フリーバーン牛舎、育成牛舎(旧搾乳舎)、草地13ヘクタール、6頭ダブルパラレルパーラーのもと、牧場運営を行っています。
牧場最大の特徴はなんといっても広大な草地です。夏場には合計9ヘクタールにも及ぶ草地で放牧を行っています。運動量が増えることによって肢蹄が丈夫に育ち、牛が長持ちする事が放牧の強みで、亮さんは「草地で鍛えられた牛群は削蹄をするような牛がいない」とおっしゃっていました。実際に牛群を観察しても、どの個体も蹄が短く綺麗でした。
怜史さん・美咲さん夫妻は、美咲さんが牧場の跡を継ぐために進学した大学で出会い、共に畜産について学ばれたそうです。
酪農へ従事した理由もお二人とも動物が好きだったとの事です。また美咲さんも家庭内で仕事を出来る方が気が楽と明るく話されていました。
◇牧場の沿革◇
昭和43年6月に美咲さんの祖父 孫さんが四国(愛媛県宇和島市)より親牛6頭、育成牛7頭を引き連れて牛飼いを始めたのが百合田牧場の始まりです。当時より、放牧地を13ヘクタール購入されていたそうです。孫さんが几帳面な方とのことで、牧場の歴史を毎年1冊の本に綴っていました。
孫さん手作りの本です。表紙絵は美咲さんが中学時代に描かれた水彩画です。
◇家族構成◇
㈲百合田牧場の代表でお父様の亮さん、お母様の美香さん、美咲さん、美咲さんのご主人の怜史さんの4人で経営されています。
怜史さんと美咲さんは同じ大学の同じ学部の同級生として出会い、2018年にご結婚されました。
主な作業分担については以下の通りです。基本的に男性陣と女性陣に分かれて作業を行っています。
亮さん | 搾乳、経産牛・和牛給餌、放牧地環境整備 |
美香さん | 搾乳、育成牛給餌・哺乳管理 |
怜史さん | 搾乳、経産牛・和牛給餌、パーラー洗浄 |
美咲さん | 搾乳、育成牛給餌・哺乳管理 |
≪怜史さん・美咲さんご夫妻の1日≫
怜史さん
5:30 ~ 6:00 | 搾乳準備 |
6:00 ~ 8:30 | 搾乳 |
8:30 ~ 9:30 | 朝食・休憩 |
9:30 ~ 11:30 | 経産牛・和牛の給餌、パーラー洗浄 |
11:30 ~ 12:00 | 放牧 |
12:00 ~ 13:00 | 環境整備(畑仕事や電柵の手入れ等) |
13:00 ~ 16:00 | 休憩 |
16:00 ~ 18:20 | 経産牛・和牛の給餌、搾乳準備 |
18:20 ~ 21:00 | 搾乳 |
美咲さん
5:30 ~ 6:00 | 搾乳準備 |
6:00 ~ 8:30 | 搾乳 |
8:30 ~ 10:00 | 朝食・休憩 |
10:00 ~ 11:00 | 育成牛の給餌 |
11:00 ~ 12:00 | 哺乳管理 |
12:00 ~ 13:00 | 育成牛の放牧 |
13:00 ~ 14:00 | 哺乳牛・育成牛の水やり(夏季限定) |
13:00 ~ 16:00 | 休憩 |
17:00 ~ 18:00 | 育成牛の給餌 |
18:00 ~ 19:00 | 子牛の管理 |
19:00 ~ 21:00 | 搾乳 |
21:00 ~ 22:00 | 湯冷まし(子牛に水を飲ませてあげる) |
≪作業を見学させていただきました≫
牧場に到着したのは朝5時30分頃、ちょうど朝の搾乳の準備をされている最中でした。
程なくして搾乳が始まりました。1度に6頭・6頭の計12頭を搾乳します。
搾乳中の怜史さんと美咲さん
2時間ほどで搾乳の作業は終了します。搾乳が終わりパーラーから牛がいなくなると、パーラーの清掃を行います。1つ1つの作業がとても丁寧で、搾乳用固定ポールなどの細かいところまで清掃が行き届いていました。
清掃が終わると一旦休憩、朝食をとります。
朝食後は男性陣と女性陣に分かれて作業が行われます。
男性陣は経産牛と和牛に給餌を行います。
この日は亮さんが牛を見分け、怜史さんが配合飼料を給餌していました。
100kg近い乾草(オーツヘイ)を運び、重機を乗りこなす怜史さん。「今は学ぶことも多いが、のびのびと牛達と共に楽しく仕事が出来ている。」とのことです。
女性陣は育成牛や子牛に給餌や哺乳を行います。
育成牛の給餌は美咲さんが行い、哺乳は美香さんと美咲さんのお二人で給与されていました。
美咲さんは「作業にもだいぶ慣れて、1人でも行えるぐらいになってきた。」と嬉しそうに話されていました。
牛舎内での作業が落ち着いた後、牛達を放牧します。
放牧地ではイタリアンライグラスや白ヒエ、秋には飼料カブなどを作付けし、7つの草地を日替わりで活用します。
取材日は放牧の時間帯まで見学させていただきました。
お忙しい中、ありがとうございました。
≪百合田美咲さん・怜史さんにQ&A≫
Q.趣味や息抜きは何ですか?
A.(怜史さん)ゲームをしたり、好きなものを食べに行ったりしてます。小説も好きで、休みの内に纏めて読んだりしています。
(美咲さん)休みの日はお互いの共通の趣味であるゲームを二人でしています。また、普段朝早くから夜遅くまで働いる分、体をしっかり休めています。
Q.おすすめの牛乳の食べ方・飲み方は何ですか?
A.青汁と混ぜて、抹茶ラテ風で飲むのがおすすめです。シチューを作る時は、牛乳をレシピの分量よりも少し多めに入れています。
Q.今後の目標やビジョンを教えてください。
A.(怜史さん)今は牛の顔と耳標番号を覚えるので手一杯ですが、発情行動や顔の表情で健康状態を分かるようになりたいです。
(美咲さん)いずれ夫婦で仕事を引き継ぐために、両親から酪農のノウハウを教えて貰っています。
Q.消費者の方々に伝えたいことはありますか?
A.牛乳は栄養豊富で飲み物から食べ物まで多種多様にアレンジ出来るので、是非どんどん使ってください!
≪県酪担当者より≫
第2回目は、日出町にて酪農家の後継者として日々奮闘されている若手のご夫婦にスポットを当てて取材させていただきました。
取材させていただいた感想として1番はなによりも怜史さん・美咲さんご夫婦の仲睦まじい様子と明るい笑顔が印象的でした。
酪農情勢の不安が取り巻く中、温かく取材を受け入れていただきました㈲百合田牧場の益々のご発展と皆様のご活躍を県酪職員一同、心よりお祈りしております。